2000年8月のテレビ
- 全国高等学校野球選手権大会(NHK・2000.8.17)
今日は休みだったので、かなりの時間を使って高校野球を見てました。で、感じたことを少々。甲子園と言う言葉が一人歩きして、どうしても甲子園に出たいという高校生が増えてその結果、大会自体の面白みと言うものがなくなってしまったということを痛感しました。例えば第三十五回大会の高知・土佐高校、第四十回大会の富山・魚津高校(準々決勝での延長十八回再試合の対徳島商高戦が有名)、第五十一回の青森・三沢高校(これも有名な決勝戦再試合、三沢・太田と松山商井上の投げ合いが有名)、第五十三回の福島・磐城高校(決勝で神奈川・桐蔭高校に1対0の惜敗)のような高校の活躍する場がないのです。今回の出場校でいえば、南北海道代表の札幌南高校とか、沖縄代表の那覇高校のようなチームはどう考えても上位進出できるようなレベルの大会ではないということを今日の試合を見ていて実感した次第。例えば最初にあげた高知県の私立・土佐高校。今年の県予選では決勝まで進出したものの、連続で甲子園に出場し続けている明徳義塾高校に無念の敗退。で、甲子園では明徳対PL学園の試合を好カードと盛んに宣伝する。そこには強いものしか受け入れてくれない甲子園の非情さが垣間見えます。
明徳義塾は全寮制(野球部はそうだと聞いています)で、全国からあの縦縞のユニホームを着て甲子園に出たいという中学生がこぞってやってきます。ですから、明徳に限らず、野球留学の高校生だけでチームを組んでいるような高校は地元民からは熱狂的に応援されると言うことはないはずです。もともと野球のうまい子は関西方面とかに偏っていて、有名校へ行けなかったり行ける実力があったとしても確実に甲子園に出るために地方へと野球留学をするということは周知の事実でしょう。それが悪いとはいいませんが、高校生の最高のレベルを見たいというファン以外にも、自分たちの近所で顔も知っている高校生がテレビの向こうでプレーしている姿を見たり、実際に応援しに行きたいと思うファンも多くいるはずです。今大会の那覇高校へのマスコミの論調を見ればそういうことは明らかであるのに、地域エゴというのか自分たちの高校を強くしたいためにプロジェクトを組んで、結果的に野球留学した生徒がそのほとんどを占めていた山形県の酒田南高校の例もあります。山形県のみなさんはそうした強化策をどう思っているのでしょうか。
関東のチームでも野球留学をするケースは多々あります。横浜高校の主軸にはなんと、静岡県浜松市のシニアリーグで今回静岡県代表で出場した浜松商高のチームメイトだった生徒が複数いるそうです。かつての野球の盛んな地域が勝てなくなった原因には、こういう状況があるのですね。そうなってくると自分の出身地域のチームだから応援するというこれまでの図式がガラガラと音をたてて崩れてしまうことになるでしょう。必死の思いで代表権を手にしても、野球エリートで固められた有力校しか勝ち進めない。おそらく今大会も番狂わせは起きず、有力校が優勝することになるでしょう。まあそれも、高校野球をプロへ行くためのステップとしてシビアに考えている人たちが多いことの裏返しなのでしょうが。
- 21世紀の石原裕次郎を探せ!!歴史的ヒーローが今夜誕生する!賞金1億円の男グランプリ独占生中継スペシャル(テレビ朝日・2000.8.7)
そんなのはいないと無視を決め込むのもなんですし(^^;)、だいいち、見なければ批判することもできないということで今回はちゃんと見ました。石原プロの稼ぎ頭・峰竜太が独立してしまった現在、新たに軍団に加わる若手を確保するためのオーディションなのですが、これに大がかりなスポンサーをつけ、できるだけおおがかりにオーディションをやったらこうなったということなのでしょう。
ただ、オーディションというものは難しいもので、オンリーワンに今回選ばれた元静岡のサッカー少年がスターになれるという保証はどこにもないのも事実。もしかしたらあの松田優作さんの息子さんのような隠し玉がエントリーされた人たちの中にいるのかなと思っていたのですが結局いなかったということは、本当に一から仕込むということなのでしょう。でも、今後の石原軍団というのはどうだと考えた時、その前途は洋々といかないことだけは私にも感じられるところです。
一昨年だったか、空前のスケールで新宿でロケをやった日本映画があり、それに渡哲也さんが主演されました。スケール・脚本ともいい出来で、これはそこそこ受けるのではないかと思ったのですが、意外と興行成績は伸びなかった。結局テレビの世界では今マンネリ(つまり制作費がかからないということ)の2時間ミステリーが受けているし、そういう情勢の中『西部警察』と同じような感じのことをやってもまずだめでしょう。だとしたらどうするのか。それを今回選ばれた彼がすべて解決してくれるわけがありません。もしかして、そうした人材が来てくれと祈りつつ選考をしていたのでしょうか。
スケールの大きさを追求していくのなら、日本を飛び出てハリウッドにチャレンジするしかありません。果たしてそれだけの器に育ってくれるのか。それとも、もう一つ違う売り出し方を模索することになるのか。はっきり行って今後の道は茨の道かもしれません。願わくば、そうしたプレッシャーの中潰されずに育って行ってほしいものでありますが。
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