フーリガン考

 

ドイツサポーター

(彼らはまっとうなドイツサポーターです。念のため(^^;))

 

 サッカーファンではなく、人々の熱狂に応じて大騒ぎし、周辺に多大な被害を与える人物のことをフーリガンと言います。今回のワールドカップでは事前に注意人物を入国させないなどの対策がなされ、海外からのフーリガン被害は押さえられました。ただ個人的に思うに、わざわざ日本や韓国まで100万近いお金を出して来るだけの気合いの入ったフーリガン予備軍はいなかったということなのでしょう。でもそれとは全く別に新たな問題も出てきました。それが日本におけるにわかサッカーファンのフーリガン予備軍の存在です。
 個人的には日本の試合を見に行こうとは、インターネットでチケットが取れる状況になっても思いませんでした。テレビのニュースでは盛り場付近で盛り上がる日本チームサポーターの姿を報道していましたが、私はサッカーの試合が好きなのであって、お祭りのようにみんなで盛り上がるのは、テレビの前ぐらいで抑え、自分の手柄でもないのに大喜びするような心情というのはちょっと理解できないのです。ベッカム選手を見るためだけに何時間も雨の中待つというのはほほえましくもありますが(^^;)、道頓堀に一糸まとわぬ姿で飛び込むのはちょっとほほえましいではすまないような気も。今の日本にそれだけエネルギーを発散できる場がないということの裏返しかと思いますが、今回のことでフーリガンとサッカーファンの違いというのを多くの人が認識するべきだと思います。

 今回来日した海外からのサポーターにはフーリガンはいませんでした。熱狂的に声援を送って暴力的になったとしても、そこに応援するチームがあり、心からその勝利を願う人たちというのはフーリガンではありません。そうでなくて、今回の日本対ロシア戦をモスクワで見たあと、日本に負けたという市民の情緒不安定を利用して、車をひっくり返したり商店を襲ったり、人々を煽動して騒ぎを起こそうと画策するのがフーリガンなのです。私は実のところ、韓国でもしかしたら暴動が起こってしまうのではないかと不安視していました。韓国の予選リーグは日本より厳しい組み合わせで、もし最終戦でポルトガルに敗れたら予選敗退ということになってしまいます。日本が日中に予選を通過していたことで、もしその夜行われた試合に負けてしまったら、あの熱狂的なレッド・デビルスがどんな行動を起こすのか不安だったのです。日本でも韓国でも、度を超した熱狂は思いもかけない暴発を起こします。ただ、偶然に起こったものが、自然発生的であれば私はそれほど不安だと思わず、いよいよ日本人も不満を行動と共に表したかとむしろ歓迎すべきと(^^;)思うんですが、暴動の中に最初から冷静な奴がいて、そいつらが故意に自分の打算のために暴動を扇動するようになることを私は恐れています。一般のファンが楽しむべきことを制限するために、フーリガンの暴動が計画され、結果私たちはサッカー場でも騒げないほど管理されていくのではないか。考え過ぎかも知れませんけど、今大会の異常とも思える警備体制が日本でのフーリガン予備軍を作り出すのではないかとほんと心配してしまうのです。だって多少羽目を外して暴れた人がいたとしても、実際に公衆に迷惑をかけなければ問題ないはずなのに、そばに厳重な警戒をした警官がいることで事件になってしまうのですから。埼玉スタジアムの準決勝の時など、たくさんの埼玉県警の名前の入った服を着た人たちに帰りのバス乗り場の場所を聞いても全然知りませんでしたし(^^;)。日本人は熱しやすく冷めやすいので4年後のドイツ大会までそれほどの熱狂は起こらないでしょうが、それでなくても夢の持てない時代です。イングランドでフーリガンが暴れ出したのが今の日本と同じような状況の1970年代だということも私たちはしっかり記憶しておいた方がいいでしょう。警官に逆恨みをしてフーリガン化する一部の人たちがもし今回のことで生まれたとしたら、警察はどう責任をとるのでしょうか。(2002.7.2)


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