チケット問題総論

 

ワールドカップチケット

 

 日韓共催になり、開幕試合が韓国、決勝が日本ということになった今回のワールドカップですが、最初から席には空席があったことが問題になりました。そもそも、入場チケットの値段が韓国の人にとっては高い価格設定であり、国内リーグ戦でも予約をしてチケットを購入するような習慣にない国民性が、国内分のチケットをさばききれなかった原因となりました。さらに、国技としてサッカーが盛んなお国柄である韓国ですが、他の国の試合の興味ということになると日本よりは少なかったということはありました。

 日本と海外サッカーと言うことでいうと、現在のテレビ東京が放送した『三菱ダイヤモンドサッカー』という番組が思い出されます。放送開始は1968年で1988年に終了するまで、世界の優れたサッカーをじかに私たちに見せてくれました。私の住む静岡ではテレビ東京系はネットされていませんでしたが、日曜の朝に放送されていたように思います。日本代表の試合だけでなく、優れた技術を持つ海外のサッカーに早くから触れていたことは重要だと思います。その後、1981年から欧州リーグの覇者と、南米リーグの覇者が中立国でクラブ世界一を競う『TOYOTA CUP』が行われたことも日本のファンの目を肥えさせることになったと思います。ドイツのオリバー・カーンだって、2001年のTOYOTA CUPで来日しています。ある意味、ワールドカップの決勝に相当する試合を20年以上も見続けてきた人たちは、海外のスーパースターが勢揃いするワールドカップの試合を見たいと思うのはある意味当然ではないかという気がします。

 逆に韓国での決勝トーナメント一回戦のドイツ対パラグアイの試合は、日本のファンからするとよだれが出るくらい空席がありました。もしこの試合が日本で行われていたら、ドイツのカーンとパラグアイのチラベルトとのGK対決という切り口と共に、かなりの注目カードになったはずです。長い間に培われてきた日本の状況は、日本チームへの応援だけでなく、それが多分にミーハー的な意味を持っていたとしても、日本で試合をしたチームには好印象を残せたのではないかと思います。

 さて、ここで改めてチケット問題について考えてみましょう。私は今回のチケットは事前に申し込もうとは思いませんでした。1年前から申し込みを開始し、抽選前からなので、日本戦をのぞいてはどこの国が試合をするのかもわからない状態の中、一番安い席で7千円前後のチケットを喜んで買う人の神経がわからないと思ったためです。しかも申し込んでも抽選の結果当選しなければなりません。その後、2次販売3次販売とありましたが申し込んでも入手できるかさえわからず、最終的には弁当付きで法外な値段のスペシャルチケットまで登場する始末。こんな大会、誰が見に行くかと思っていたのですが。

 しかし、日本での試合でもあるはずのない空席が見受けられるようになり、先着順でインターネットから購入できるという話を聞き状況が一変しました。電話販売の不公正さは相変わらずですが、インターネットからのチケット予約は、ある意味誰にもチャンスはありました。自宅にインターネットがなくても、最近日本に増えてきたマンガ喫茶とかインターネットカフェからアクセスして粘っていれば私と同じように一次リーグのチケットは場所にこだわらなければ手にはいるという状況にありました。私の住んでいる静岡県で開催のうち、夜からの開催で仕事に影響のでないのは6月11日のドイツカメルーン戦というのも気合いが入った理由でした。結果試合5日前の6月6日の早朝にチケット購入に成功。60USドルという値段で一番安い席を家族の分を含めて3枚ゲットしました。家族もこのふってわいた幸運に興奮していましたが、おそらく今回のチケットをすべて日本側が仕切って、「チケットぴあ」あたりがまとめて扱ったとしたら、どんなに努力しても私のような一般のコネもない人はチケットは手に入らなかったでしょう。その後、どうしてももう一試合見たくなり、ついつい準決勝のブラジル対トルコの試合、2番目の席であるカテゴリー2を2枚ゲットしました。こちらの方は300USドルと安くはありませんでしたが、日帰り可能な場所での試合でしたし、試合の内容も素晴らしく、今でも生で見られたことが信じられません。大量の売れ残しを生んだり、印刷が間に合わなかったりとさんざんだったFIFA及びバイロム社ですが、直前返却分をインターネットで売るという販売手法だけは私は評価します。

 まあ、それでもなお、見たいのに競技場で見ることのできなかった人たちの恨みは消えません。当日までにどうしても残ってしまった席については、どうして会場判断で売れなかったのかなあと思います。腐敗したFIFAに首根っこを捕まれて、なるべくトラブルを避けようと立ち回った日本組織委員会のファン無視のチケットの売り方とその後の対応は、当然批判されるべきものであると思います。さらに、日本側では関係者にチケットを回すようなことをやっていた話も伝え漏れてきます。全部日本がチケットを請け負ったら、それはそれで大きな問題になったとも思いますし、多少の不公平に陥るのは仕方がないにしても、今回のチケット販売の方法は(各サッカー連盟から返却されたチケットを直前にインターネットで販売するというもの)次回へもつながっていって欲しいものだと思います。

 


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