往復2,800キロ 鹿児島への旅

西大山駅からの眺望

 今年のゴールデンウィークは暦通りでも5連休あり、事前の予報でも天気の崩れはないということで遠方への車旅を決めました。とりあえず佐賀県有田でゴールデンウィーク期間に行なわれる有田陶器市へ行き、余裕があったら全国都道府県の中でもまだ足を踏み入れたことのない鹿児島へ行ければいいなというかなりアバウトな計画です。ちなみに、現地の宿泊は全く予約していません。高速道路を走り続け、疲れたらサービスエリアに車を停めて仮眠を取りつつ進めばいいという風にかなり軽く考えていました。もっとも、車の中で熟睡するための準備はちゃんとしていますし、食事なども最悪車の中でも取れるような形で準備してから出発しました。連休を有効に使うため、4月30日の金曜日午後9時過ぎに自宅を出て、近所のスーパーで朝食のためのパンやサラダなど、お菓子類やカップヌードル、紙パック飲料などを購入し、静岡インターに乗ったのが午後10時頃でした。

 前の年もゴールデンウィークの渋滞には参りましたが、やはりというか深夜にも関わらず岡崎インターを頭に16キロくらいの渋滞にはまります。静岡から大阪方面に向かう場合、東名→名神というルートよりも、豊田ジャンクションから伊勢湾岸道に入り、四日市経由で亀山から新名神を通って草津方面に抜けた方が渋滞があったとしても早く大阪に到達できます。そんな中、四日市東→鈴鹿も8キロの渋滞という表示が出ましたが、実際走っていると何とか車は流れていました。昨年と比べるとそんなに大したことはなかったといった印象です。

 新名神の土山サービスエリアで一回目の給油をし、キリの中信楽を通過、行きの最大の難関と考えていた関西地方に入りました。宝塚あたりから10数キロの渋滞という情報でで、100分程度抜けるのにかかるのに、途中の名神高速の桂川パーキングエリアは全く駐車場の空きがない状態でした。どうにも休めないのは仕方がないと思いつつも眠気をこらえつつ、なんとか吹田ジャンクションを通り、午前6時過ぎに何とか西宮名塩サービスエリアに駐車でき、30分程度の仮眠を取りました。とにかく中国道〜山陽道の方に渋滞を抜けて入りたかったのでちょっと復活したのを感じ取ってすぐに出発です。今回の旅ではこのあたりがいちばんきつかったですね。

 そこからしばらく走り、8時半くらいに山陽自動車道の白鳥パーキングエリアで用意してきたパンなどを食べてようやく一息つきました。ちょうどその前後に、前方で事故があったらしくようやく渋滞の影響から逃れられると思ったのもつかの間、サービスエリアを出てからまた渋滞に巻き込まれることに。幸いにして事故そのものに巻き込まれることはありませんでしたが、こういうのはしょうがないと思って進むしかないですね。

宮島SAの焼きガキ 午前10時半ごろといいますから静岡を出発してから12時間かかって岡山の吉備サービスエリアに到着。ここでこの旅2回目の給油をしましたが、サービスエリア内になんと今回の目的地である有田陶器市のパンフレットがあったのですね。現地でしか入手できないだろうと思っていたので大体の会場の雰囲気をここで知ることができ、ちょっと失いかけていた道行きの意欲が再び湧いてきます。途中午後1時頃に広島の小谷サービスエリアにあったヤマザキYショップでクーラーボックスに入れる氷を補充、さらに進んで宮島のサービスエリアでは名産の殻付きカキを焼いて売っていたのでお昼代わりに食します。下松サービスエリアで3回目の給油をしましたが、これだけまめに給油しているのは、いつ渋滞に巻き込まれてスタンドにたどり着けない可能性もなくはないと恐れていたためです。だいたい、250キロ走るごとに給油というパターンでした。ちなみに、今回の旅の平均燃費は18km/l前後で、ガソリンを満タンにしておけば400キロ走ってもまだ余裕はあったのですが、高速道路のガソリン料金はどこでも同じのため、いつ入れても金銭的には同じだったのでまめに給油しました。ただ、自分の食事はマメにはとらず、、ようやく山口県の佐波川サービスエリアに出店していた吉野家(「吉」の字の上は「土」です)で遅いお昼を取ることにしました。

 ここの吉野家は、いわゆる牛丼の値引き販売を行なっていませんで、並で380円でしたが、なぜかつなぎを使わない十割そばを一緒に提供していて(盛りそばが380円)、牛丼と十割そばのセットなどという、魅力的なセットメニューが多少安く(680円)提供されていました。おそばだけでは物足りないといった人にはこうしたセットメニューは魅力があります。牛丼はともかくおそばはなかなかの味で、ここまで我慢して良かったかなと思ったりしましたね。

壇ノ浦サービスエリア内旅籠屋 そうして九州に入る直前、まず向かったのは壇ノ浦パーキングエリアでした。展望台から雄大な関門橋を見られるということもあるのですが、現在日本の高速道路にある中で2件しかない民営の宿泊施設「旅籠屋」さんがあるからなのです。当然のことながら当日の空き部屋はありませんでしたが、できたばかりの施設は実に立派に見え、機会があればここを九州観光の前線基地としてみたいなと思えます。ここのシステムは一名ごとではなく、一部屋につき料金が決まっています(人数が増える場合、エクストラベッド貸し出しにより多少の増額あり)。キングサイズのベッドがあるので、お子さん連れなどの場合はみんなで大きなベッドにねるような形でいいならば、普通の旅館やホテルに泊まるよりも安上がりです。朝食も無料でサービスされるので、わざわざ狭い車の中で一夜を過ごすよりもよっぽど快適ですが、もっと多くのサービスエリアに同様の施設ができるような感じになれば、当日行き当たりばったりの予約もできやすくなったりして、車中泊ではどうしてもだめだという時にも役に立つでしょう。もっとも、高速道路自体が無料化になり、料金所がなくなれば、わざわざインター内に施設を作らずにインター出口周辺にこうした新しい料金体系の簡易宿泊施設が作りやすくなるでしょう。もちろんサービスエリア内に宿泊できるというのはそれはそれでメリットがあります。この旅を通じてさまざまな車中泊をしている車に出合いましたが、キャンピングカーのような完全装備をしている車はそう多くはなく、まだまだ普通車のシートを目いっぱい倒して寝るといった形が主流のようでした。そうした人たちを取り込むだけの魅力は確かにありましたね。

 有田陶器市では連日、早朝に先着300人に限り、朝がゆのサービスを商店街の方々のお力で毎年行なっています。サービス提供は6時からですが、朝がゆをよそう有田焼の茶碗をそのままプレゼントしてくれるので、かなり前から並んでいる方々がいるとのこと。インターネットで調べると一番早い人は午前2時から並んでいたというような話もあり、駐車場へ行るための列は夜中からすでにあるという話も聞いていました。そんなわけで、九州に入り有田へ行く手前の自動販売機しかない小さな小城パーキングエリアで少々の仮眠を取ることにしました。ゴールデンウィーク期間なのに、こうした小さなパーキングエリアにはいわゆる車中泊をする車は大挙して押し寄せてはいないようでした。午後8時頃に就寝し、目を覚ましたのは午前2時頃で、そこから少し車を走らせ川登サービスエリアに入ります。こちらの方はかなりの車がいましたが、深夜のため多くの人たちが車の中にいたみたいで、その隙に給湯器からお湯を持参のカップヌードルに直接注ぎ、朝食というより夜食をいただきます。今回の旅では調理はせず、お湯はすべてサービスエリア内にある給湯器から補充していました。持参の水筒に入れるための大きめのマグカップも持っていましたが、直接カップヌードルを作れるくらいの温度があるので、わざわざ火を使って水を沸騰させるまでもないことから、だいぶ助かりました。

ふるまわれた朝がゆ そうして有田陶器市の会場へと車を走らせ、朝がゆの会場である有田館前から一番近い駐車場、有田小学校へと向かいます。到着したのは午前4時前でしたが、もうすでに同じ目的の車が何台も停まっているではありませんか。いつ駐車場が開くのかわからないままとにかく車を前の車の後ろにつけましたが、ちょっとした間に後ろにもすごい車の列が連なっていました。結局、駐車場が開いたのは午前5時ちょっと過ぎで、駐車してからすぐに朝がゆの行列に並びました。すでに近所の方々など車を使っていない人や、運転手を残して先に並んでいる人たちがいたようで、かなりの行列の長さです。整理券を5時半から配り始めたようでしたが、その時点ではすでに300人を突破していたようです。私から数えて50人くらいのところで整理券が終了していましたので、あれだけ早くから来てぎりぎりということでした。一人でなく二人で行けばもう少し余裕が持てたのでしょうが、結果オーライといったところでしょうか。無事に朝がゆと今年の干支の入ったお茶碗をいただき、改めて陶器市会場をぶらぶらします。

 会場はかなり広く、広範囲にわたるためちゃんと対策を立てないとどうしようもありません。まだ朝が早く開いている店も少ない頃から人が出てくるころまでぶらぶらし、ちょっとした買い物をし、午前10時頃、有田小学校から無料のシャトルバスを使って、お昼にと考えていた卸団地内の「創ギャラリーおおた」へ。オープンしたばかりくらいの時間らしく、店内は空いていました。ここで食したのは、有田駅の駅弁として絶大な人気を誇っている「有田焼カレー」です。駅弁のものと同じですが、ここで食べるとカレーが盛られている有田焼の器はカレーを盛られる前の新品をいただけるのです。スパイスが効いた辛めのカレーですが、その味とともに器が付いているというのが人気の秘密でしょう。どちらにせよ今回は器を買いに来たのですし、食事したとしても結構な出費になりますから、このお弁当の1,500円はそう高くはないと私は思います。お腹を満たした後は、卸団地内で少々の買い物をし、そこからちょっと歩いていった所にある「しん窯」へ。こちらの窯元もそのデザインが人気です。湯飲みと蕎麦猪口を買ったら、隣にある喫茶コーナーでコーヒーかお汁粉をいただけるチケットをいただきました。そこでコーヒーをいただいた後、シャトルバスと徒歩で有田小学校へ戻った時にはだいたいお昼ぐらいになっていました。午後になるとさらに人出がすごくなるとのことで、早めの離脱で正解だったと思います。

シーボルトの湯 ここまで一日半、ずっと車に乗りっ放しということもあり、これまでの旅の疲れを取ろうと温泉へ向かうことにしました。2010年の4月に、有田から近い嬉野温泉に日帰り入浴施設「シーボルトの湯」ができたということでまだ一度も行ったことのない嬉野温泉に向かうことにしたのでした。

 カーナビの設定で、なぜか同じく陶器市が行なわれている波佐見を経由していったので、ちょっと渋滞に巻き込まれましたが、どれだけ人が押し寄せているのかわからないくらい多くの人が陶器を見に来ているのですね。嬉野温泉はそれほど人は出ていないのかと思ったら、やはりゴールデンウィーク期間です。シーボルトの湯を利用すると2時間無料で利用できる町営の駐車場が満車になっていて、すぐには入れそうもありません。地元の方々が駐車場への誘導を行なってくれていて、町営駐車場の奥にある病院の駐車場を使えるようにとりはからってくれました。この日も日差しが強く、外で駐車場への誘導をするのはなかなかの重労働だと思いますが、他の車でやってきた観光客に対しても実に心のこもった対応をしてくれていて、好感が持てました。やはり九州でも人気の温泉地であるということがこうしたことからもわかりました。肝心の温泉ですが、いわゆる美肌の湯という肌がツルツルになる泉質です。ただ、洗い場にはシャンプー、リンスおよび石鹸までがありませんので、ちゃんと用意してから行かれるようにしましょう。浴槽は一部に泡が出るお風呂があって、歩き通しだった足にあてながらその日の疲れを取るように努めました。温泉から出て温泉街をぶらぶらしていて、いわゆる「10円まんじゅう」のお店を発見。10個セットで100円という饅頭の中で、嬉野茶を練りこんだ緑色の饅頭を購入し、戻った車の中で水筒に入れておいたお湯でお茶を煎れ、食しました。


 そうして温泉を出てから周辺のスーパーでお土産用に地元にしかなさそうな調味料、乾麺の類を仕入れます。この頃になると本日の宿泊をどうしようかという選択を迫られることになります。このまま下道を行き道の駅を目指すか、それとも高速道路に乗ってできるだけ鹿児島に早く近づくべきか。そう思いながら南へと進んでいると、大型スーパーを発見しました。ここで翌日の朝食および本日の夕食用弁当や、クーラーボックスに入れる氷を確保しました。考えてみるとこの日は、夜中から夕方までずっと活動していたということもあり、あまり無茶をせずに高速道路に乗り、早く寝る体勢に入る方が疲れを翌日に残さないだろうということで、長崎道の多久インターチェンジから鳥栖ジャンクションを経由し、鹿児島方面へと車を走らせることに。途中渋滞に遭いながらも、熊本の先の自動販売機しかない詫麻パーキングエリアに午後8時前に着き、ワンセグで大河ドラマを見ながら買ってきた弁当を食べることに。レストランなどが充実したサービスエリアではなかなか車も置けない状況は変わらず、食事もどうしても油っ気が多いものが中心になってしまい、体調管理のためにも食べ過ぎない事が旅行中の体調管理のカギだと思っています。普通の弁当だけでは野菜が足りないということもあり、お惣菜の野菜とか、紙パックの野菜ジュースを意識してとるようにこの旅では気を付けました。

吉松PAの様子 夕食後さらに車を進め、トンネルばかりの九州自動車道に辟易しながら宮原サービスエリアで給油とお湯の補給をし、10時過ぎに吉松パーキングエリアへと着きました。昨日から比べると止まっている車の数は多いですが、休憩で入ってくる車から影響の少ない奥側の端に車を停めることができたので、本日の宿はここに決定します。実を言うと、前日の寝床のセッティングには少々時間がかかりました。いろいろと余分なものを持ってきてしまっていたので、当初はそれらをすべて移動してから寝床を作っていたのですが、わざわざ荷物を移動させなくても寝床を作ることのできるスペースは十分あることがわかったので、11時頃には十分寝られるだけの体勢が整いました。寝床のセッティングについては、別ページで紹介していますコットの利用も考えたのですが、今回はウレタンマットの上にエアマットを敷くことで寝るまでの時間を節約し、寝心地もコット使用と遜色ありませんでした。旅を通じて寝る時の姿勢で体が痛くなることは皆無でしたし、軽自動車だからといって普通車と比べて疲れるといった感じでもありませんでした。フラットで凸凹のない寝床さえ確保できれば、長距離の旅でもそこそこ大丈夫だと改めて感じた次第です。

 翌日は朝の6時頃に目が覚めました。寝床の片付けもすぐに終えることができ、朝食をすませていよいよ47都道府県のうちで未だ訪れたことのなかった鹿児島へ向かって車を進めます。8時過ぎに高速を下り、指宿・枕崎方面に進路を取ります。途中、この旅初めての道の駅にさしかかりました。指宿の手前にある「喜入」はまだ施設が営業していず、停まっている車もまばらでした。一台のワゴン車では、家族連れが椅子とテーブル、キャンプ用コンロを出して朝食の準備をしているところでした。結果論ですが早目にこちらの道の駅までやってくれば、もう少し余裕を持った日程が組めたでしょう。とりあえずここの道の駅は素通りし、次の「いぶすき」道の駅はすでに車でいっぱいで、地元の特産品の販売が行なわれていました。入口を入ると何と種子島から直送という糖度16度の安納芋を発見。小ぶりながら1kg550円と安かったのでお土産として購入。その他鹿児島のお酢や、途中で食べるためのコロッケや朝採りのビワなどをしこたま買い込みました。ここから砂蒸し風呂へ向かおうかと思ったものの(パンフレットが置いてあったので場所はすぐにわかりました)、充分時間があるからと先に枕崎の方へ車を走らせることに。今から考えると先に砂蒸し体験をしておいた方がタイムロスが少なかったような気もしたのですが。

 枕崎駅は隣に大型のショッピングセンターができていて、いわゆる終着駅の風情は皆無でした。ただ、ショッピングセンターだけに無料で車を駐車でき、旅に必要な物だけでなくお土産も調達できるなど、車での旅にはそれなりに便利です。地元の人たちにもそうとう便利に使われているようで、軽トラに乗ってやってきたお年寄りの方々がとても目に付きました。ここで刺身用冷凍カツオを見付け、500グラム680円という値段にすぐ自宅まで発送してもらう算段をしました。まだ魚市場などへは行ってなかったのですが、結論から言えば、港近くの魚センターよりも安く新鮮なものが手に入ったような気がします。ショッピングセンターには地元の高校生が作った海産物加工品なども置いてありまして、お土産はほとんどこちらでそろってしまうでしょう。ただ、食堂などの施設はないようだったので観光案内所へ行って最南端到達証明書なるのもを200円で購入しつつ食事のリサーチをし、とりあえず魚センターが良かろうということで移動することに。ただその前にやはり新しくなったとは言っても駅の様子だけでも見ておこうと日本最南端の終着駅である枕崎駅に向かいます。やはりというか、鉄道マニアの方々がカメラを持ってウロウロしていましたが、駅が新しくなって風情がなくなった云々とこちらに聞こえるような声で呟いていました。でも地元の人にとっては整備された方が便利なんですから単なる旅行者が文句を言っても仕方がないような気がするのですが。

枕崎お魚センターカツオたたき定食 駅から港までは車ですぐで、「枕崎お魚センター」という施設内に食堂があるということでそこそこ車で埋まっている中、先に食堂の方へ入ってみました。ゴールデンウィーク期間中ということでメニューは限られたものしかありませんでしたが、カツオのたたき定食(1,260円)を注文。ここの食堂にはお茶葉と急須があり、魔法瓶に入っているお湯でお茶を煎れるようなシステムになっていました。定食の方は最初に運ばれてきた時、なぜかお汁がなく、ご飯が2つあったのには驚きましたが、これはお店の人の間違いでした。カツオのタタキも美味しかったですが、定食に付いてきたイカの塩辛もよかったです。十分満足し、改めて即売所の方も見ましたが、先に書いた通りカツオについては、冷凍物についてはスーパーの方が安かったですね。もちろん、新鮮な魚についてはいろいろありましたのですぐに食べられるのならこちらでの買い物の方がいいかも知れませんが、今回は食事だけでも満足できました。食事はお昼前に終えることができましたので、食べるまでに待たされることもなかったのがよかったですね。

 指宿方面に向かう途中、JR日本最南端の駅という立て看板が目に入りました。ちなみに、日本最南端の駅は沖縄のモノレール(ゆいレール)の赤嶺駅で、すでに到達していますが、JRの最南端はまだ行ったことがありませんでしたので寄り道しました。西大山駅がその駅ですが(一番最初の写真がそれです)、正面に漬物工場があり自社製品らしい漬物や、つめたい飲み物などの販売所があります。無人駅で駅舎もありませんが、駐車スペースは多めにとってあるので、開聞岳の眺望とともに最南端の標識をいっしょにカメラに収める人が多くいました。こちらの方も人がホームから途切れた時を狙って何枚か写真を撮りました。ホームにはプラスチックケースに入ったノートが置いてありました。鉄道でここまで来て途中下車したような人のために設置してあるのでしょうか。

 そこからしばらく走り、カーナビにセットした指宿温泉の砂蒸し風呂へ到着したのが午後1時頃でしたが、すでに駐車場に入るのにすごい行列が。駐車場を案内する人によると、駐車場へ入るまでが1時間で、そこから建物の中で受付けしてから実際に案内されるまでも1時間以上かかるとのこと。2人以上で来ている場合は、先に受付だけ済ませて待った方がいいとのことでしたが、残念ながら私は一人で来ているのでそういう芸当はできません。有田陶器市の駐車場で並んだ時もそうでしたが、行列があるような所へ行く時は同行人が欲しくなります。実際問題、高速道路の渋滞よりも時間がかかったのがこの駐車場への行列でした。だいたい2時くらいに駐車場に入ったものの、建物で整理券を受け取った時には前に200人くらいいまして、結局案内されたのは3時をちょっと回ったくらいでした。ちなみに、大人で浴衣レンタル料を含めて900円ですが、首周りに砂をつけないためにタオルが必須で、ない人はタオルを100円で購入する必要があります。また、バスタオルは200円で貸し出してくれますので必要に応じて用意しておくといいでしょう。

指宿温泉の砂蒸し風呂 どんな感じになるのかと浴衣だけを着て案内された海岸ですが、タオルを頭に巻き、首の位置を合わせて横になると、すぐに砂を掛けられます。砂は結構熱くなっていますので、ことによっては火傷する危険性もありますので堪えられないほど熱い砂がかかった場合は係の人にちゃんと言って掛けなおしてもらった方がいいでしょう。初心者の人はせいぜい10分くらいといいますが、10分経っても知らせてくれるわけではないので置いてある時計を入る前に確認するなどしてだいたいの時間を自分で把握しておく必要があります。一緒に入った家族連れの人たちの中には小学校低学年らしき子もいて、出る時にお母さんがまた来たい?とたずねたら「もう二度と入りたくない」と言ってました(^^)。確かに全身の血管が開き、砂の重みで身動きが取れなくなるし、小さい子にはきついでしょう。でも、新陳代謝がかなりあったようで、全身から噴出す汗が実に心地よかったです。海岸に寝っ転がって衛生的に大丈夫かと思われる人もいるかも知れませんが、ここの砂はいったん熱湯にくぐらせてからかぶるようになっているのでさほど心配はいらないと思います。そんな感じで管理されている砂浜ですが、たまたま私の後ろで寝ていた男性の足元になぜか野生の蟹がやってきて、足を挟まれる可能性もあったので、係の人が温泉に当たって死なないように移動させていました。どこから迷い込んできたのか、これも本能というものなのでしょうか。

 砂から出て建物内部の浴槽の方に行き、まずは体にこびりついた砂を落とすためシャワーを浴びます。それでも砂は落ちないので、全身をしっかり洗い、ついでに頭も洗いました。そうしてようやく湯船につかり、この日の疲れを取ります。そうして指宿を出発したのが午後4時を回った頃でしょうか。さすがにこの時間になると、指宿から鹿児島市内に向かう道路が延々と渋滞していました。鹿児島市内に入ったのは夜の7時頃になってしまっていました。さしあたって明日の朝食を仕入れるためのスーパーに入り、ガソリンを給油してから再度九州道に乗りました。今回の旅ではじめて高速道路以外でガソリンを入れたのですが、ここでは窓拭きだけでなく、車内にあったゴミの処理を向こうから言ってきてくれました。旅先でのゴミ処理はなかなか難しいのですが、ゴールデンウィーク期間中は高速道路上のスタンドでは給油以外何もしてくれないことがほとんどで、ここでゴミを処理してもらえなかったらゴミがさらに増えてしまうところでした。セルフスタンドもいいですが、こうしたフルサービスを展開しているガソリンスタンドを活用することもどうしても必要になってくると実感した次第です。そうはいっても、結局この日も高速道路のパーキングエリアで泊まることにし、前日の夕食をとった熊本の詫麻パーキングエリアまでやってきました。さすがに熊本インターの隣のパーキングエリアだけあって停まっている車の数も多かったのですが、それでも何とか休憩で入ってくる車が入ってこられるスペースはあるようでしたので、できるだけ端の方に寄せて寝床をセッティングします。翌日の予定はこの時点では何も決めていませんでした。

 翌日は割とゆっくりしていました。連休は次の日までなので、最悪そこまでに帰れば良かったので。とりあえず福岡方面に向かって車を走らせます。そのままどこにも寄らず、高速に乗り続けても良かったのですが、福岡市内はちょうど博多どんたく開催中で、大宰府直前の道路情報で相当の渋滞が出ているとの情報が入りました。時間もお昼に近くなっていて、名物も食べたいと思いながら筑紫野インターでつい降りてしまいました。そのまま太宰府天満宮の駐車場(1日500円)に駐車し、大宰府駅前のラーメン屋「暖暮」で昼食を。その後天満宮へ行くのではなく併設の国立博物館へ行くことにしました。

 今年の1月に福岡空港経由で長崎に行ったのですが、時間の都合で太宰府天満宮には行けたものの、国立博物館の方は開館する前に空港へ向かわなければならなかったということがありました。そこで今回は改めて博物館をじっくり見学しようと急に決定したという。たまたまというか、特別展で海外に渡った古伊万里を展示していました。並んでいるのは古伊万里の逸品ばかり。陶器市で飽きるほど有田焼は見てきましたが、これだけすごいものを博物館の解説付きで見てしまうと、自分が納得して買ったはずの焼物がどうしようもないもののように見えてしまいます。でも、どういうものが評価が高いのかということを本物を目の前にして見られたのは実にためになりました。これでまた、いつか機会があれば陶器市に出掛けたくなったりしてしまって、まさにこの旅は陶器で始まり陶器で終わった旅だと言えるかも知れません。

 国立博物館の一般展示の方も見ましたが、それこそ量が多くてちょっとやそっとでは観切れません。特別展と合わせて3時間近くもいたのではないでしょうか。大宰府を出て道沿いにあった明太子の「ふくや」で、持ち帰り専用という100グラム420円という箱なしの明太子を自宅用に購入後、またもやスーパーに寄って食料およびクーラーボックス用に板氷を購入。氷はそのほとんどをロックアイスでまかなっていましたが、結果的に板氷の方が溶けづらかったですね。氷を仕入れたのがだいたい午後4時くらいで、それから24時間後でもまだ氷はクーラーボックスの中で残っていましたから。

 あまり遅くなると渋滞に巻き込まれそうなので、同じ筑紫野インターチェンジから高速道路に乗ろうとしましたが、どうやら延々と渋滞が続いているようでした。そんなわけでしばらくは下道を行き、夕食を食べてから高速道路に乗ろうと、とりあえず八幡インターを目指して国道を飯塚方面へ進みます。途中全国チェーンのうどん屋さんで早めの夕食を取り、高速道路に乗ってからの渋滞は半ば覚悟の上で八幡インターから高速道路に乗りました。いよいよ九州を離れることになります。

 しかし、こちらの予想以上に九州高速道路は混んでいて、本州に渡っても渋滞の列は続き、サービスエリアやパーキングエリアに入るにも大行列です。当然、ガソリンスタンドでの給油も大行列です。幸い夕食後にトイレも済ませておいたので、とにかく車の数が少なくなる山陽道と中国道の分岐から中国道の方へ行ってから休憩を取ろうと決め、かなり長い時間我慢しました。ただこれは一人だからできた方法かも知れません。ゴールデンウィークとイベントが重なったためしょうがないところはあるにしろ、食べ物については事前に用意することで何とかなりますが、トイレ休憩が取れないというのはなかなか大変です。それでも何とか山口ジャンクションを中国道へ向かい、鹿野サービスエリアで休憩を取りました。このサービスエリアはいわゆる昔によくあるような施設でしたが、給湯器はあったので、ここで明日のためのお湯を調達し、すぐ先の深谷パーキングエリアまで走りました。時刻は11時くらいでしたでしょうか。さすがにこれ以上は眠気が出てきたのでここで朝まで泊まることにしました。

 いよいよ連休最終日です。朝食を済ませて朝6時頃に出発しまして、安佐サービスエリアで今回の旅最後の給油をしました。というか、そのまま給油しなくても自宅まで帰ることができたのでした。サービスエリアでは給油のみで休憩は取りませんで、何とかして大阪付近の渋滞がひどくなる前に抜けようと思ったのですが、予想に反してほとんど渋滞は出ませんでした。その後、多少の交通集中による流れが止まりかけることがありましたが、新名神の土山サービスエリアにお昼頃に着き、ここで簡単な昼食用におにぎりとお土産用に伊勢名物の赤福を買い、東名高速に入りました。結局午後3時過ぎに自宅へ到着し、この日は9時間あまりで帰ってくることができました。

 今回の旅はとりあえずの目標に有田陶器市をおいていましたが、これだけいろいろ回ってこられるとは思いませんでした。そして、長距離の旅行でもワゴンRで行けるという自信も付きました。次回の旅は今回の反省を生かすことでもう少し効率的に回ることができるように思います。車中泊の旅ならではのフットワークの軽さを生かし、今後もいろいろと出掛けてみようと思っています。

 


(長めのあとがき)

 

 まず、今回の行程とかかったガソリンについて。トリップメーターで確認したところ、走行距離の合計は2,810キロで、給油は都合10回とこまめに行ないました。ワゴンRのガソリンタンクは軽自動車ですのでそれほど入りませんが、長距離走行の場合400キロ以上は余裕で走れます。しかし、渋滞など何が起こるかわかりませんのでだいたいメーターの半分、250キロ前後で給油することを心掛けました。給油したガソリンは150.95リットルで、トータルの燃費は18.62km/lとなります。高速走行がほとんどでしたが、渋滞があったり流れに乗ったりして燃費を伸ばすには苦しい運転になったことが反省材料です。走行車線でのんびり進んだら、恐らく燃費は20km/l以上になったと思います。ちなみに、高速道路のガソリン(レギュラー)は138円/lで、ガソリン代は約2万円でした。この他、高速道路代ですが、ノンストップで静岡から九州へ行くのに、大阪周辺の別料金区間は軽自動車の場合850円がプラスされ、片道1,850円となります。また、九州を縦断するのに数回高速道路を使いましたので1,000円×2が追加されました。今回の旅では全て高速道路上のパーキングエリアで泊まったので、1,000円には宿泊場所の確保代も入っていますのでそれほど負担感はありませんでした。こうしたものを合計すると、だいたい2万6千円が移動そのものにかかった費用でした。

 今回の旅にあたり、ガイドブックの類は全く持っていきませんでした。情報は事前にインターネットで入手していましたし、旅にはノートパソコンとどこでもインターネットにつながるSIMカードがそのまま差さる無線ルータをセットで持って行っていましたから、いざという時にはすぐに情報の入手が可能でした。それに加え、高速道路のサービスエリアには簡単な地図が付いたサービスエリアマップが置かれています。さらに、移動中の岡山のサービスエリアには、有田陶器市のパンフレットまで置いてあるという手際のよさ。同じものはインターネット上で確認していましたが、事前にこうしたものを入手できたことで効率的な計画を立てることができました。その他、道の駅などに置かれているパンフレットなども活用し、行きたい施設の住所や電話番号がわかればそれをカーナビに入力すればまず間違えなく行けます。今使っているカーナビは到着時刻予測がわりと正確なので、それを基にしてだいたいの計画も立てやすかったのはよかったですね。

 ほとんどの行程を高速道路上で過ごしてしまったので、車中泊する場所というのも高速道路上ということになってしまいます。当然ながら路肩や路線バス停留所などで駐車するのはご法度です。サービスエリア、パーキングエリアで探すということになるのですが、今回はゴールデンウィーク期間中ということもあり、売店やレストランなどがあるところはどこも車でいっぱいで、駐車場所を確保することすら苦労するありさまでした。夜通し走っていてちょっと休憩したいと思った時、どこにも駐車場所がないことほど悲しいものはありません。そんなわけで、車中泊をする場所を選定するにあたって、混雑しているところは最初から外して考えました。また、夜は多少の駐車場の空きがあったとしても売店を併設しているような所では開店後の車の流れが変わることも十分予想できましたので、基本的に自動販売機とトイレのみ設置されたパーキングエリアでの車中泊を徹底しました。朝食などは事前に用意し、お湯なども水筒に入れておくなどの用意は当然必要です。しかし、あくまで公共の場所である駐車スペースを一定時間占領するのですから、その辺は極力謙虚に場所の選定を行ないたいものです。

 さて、車中泊の旅の要といえば寝床作りですが、実際に寝床を作る段階になって、ちょっと悔やまれることがありました。私は普段から災害にあっても何の用意もなくて大丈夫なように、かなりの装備を積み込んだままにしています。調理用具や食器類、テントなど、キャンプ場へ行かなければ使う機会のないものをそのまま積み込んで出発してしまったのですが、旅先でお土産など増えていくのに、旅で全く使うあてのないものが山積みになっているというのは今考えると非効率的でした。高速道路や道の駅のみで車中泊する場合、荷物の中でもかなりの割合を占める調理器具やテントなどは持っていかない方が寝床を作るにもかなりやりやすくなります。というわけで、今回の旅で役に立ったものについて箇条書きで紹介してみようと思います。

・クーラーボックスと飲み物

 今回のゴールデンウィークは雨の日がなく、気温も相当上がったので冷たい飲み物がどうしても欲しくなりました。その都度自動販売機で買うのもいいでしょうが、いつでも販売機を見つけられるわけでもありません。また、朝食や夕食を保存するにも、現地で買った生暖かい果物や野菜を食べごろになるように冷やすためにもクーラーボックスがあるとないとでは大違いです。保冷剤は日帰りの旅では重宝しますが、長期の旅の場合は意味を成しません。私は凍ったアイスノンを一つ入れていったくらいで、後は旅先で氷を買ったりお店の迷惑にならない範囲で保冷用の氷を追加していました。専用の板氷の保冷力は大したもので、24時間入れっ放しでも全て解けることはありませんでした(当然、クーラーボックスの保冷力に依存するところでもあると思いますが)。単に無料だからといってスーパーの保冷用氷をたくさん入れたとしてもすぐに解けてしまいます。ケチらずに保冷の中心はちゃんとした解けにくい氷を購入し、あくまで補助的に使ったり、小ぶりのソフトクーラーボックスで手近に飲むための飲料を冷やすのに使うのがいいかと思います。そしてビニール袋に入った保冷用氷はすぐ溶けてしまうとともに、クーラーボックスの下に水としてたまってしまいますので、クーラーボックスを選ぶ際にはたまった水を簡単に捨てられるような排水穴のあるものを購入していた方が無難です。ないものだといったん中のものを取り出さないと排水することが難しくなります。
 クーラーボックスに入れる飲み物の基本は、ペットボトルの水でした。一応2本持っていきましたが、一緒に持っていった飲むお酢を割るのに重宝しました。気のせいかも知れませんが、長時間運転の疲れも取れた気もします。ただそれだけでは飽きますので、ジュース類も持って行ったり途中で買ったりしました。この時気を付けたのが、できるだけ缶飲料やペットボトルのものは買わず、紙パックのものにしたということです。野菜ジュースや飲むヨーグルト、牛乳や豆乳など、不規則になりがちな食生活を補ってくれるものを中心に揃えていました。紙パックの場合小さくして捨てられるということも長い車中泊の旅には大切な知恵だと思います。

・水筒とマグカップ

 冷たい水はクーラーボックスで調達できますが、熱いコーヒーやお茶を飲みたいと思った時には保温力のあるステンレス製の水筒が必要です。お湯の調達については、高速道路上を移動しているならば、大きなサービスエリアには必ず給湯器があります。お茶をそこで飲むために多くの方が利用していますが、このお湯はカップヌードルが食べられるだけの温度です。今回の旅では夜になると翌朝のために給湯器のあるサービスエリアに入り、金属製のマグカップに注いだお湯をせっせと水筒に移していました。夜補充すれば朝でもコーヒーやお茶、スープくらいなら十分飲めるくらいになります。ただ真冬の場合はちょっとぬるく感じるかも知れません。仕方なく加熱する場合でも冷たい水から沸かさなくてもすむ分、効率も時間も短縮できます。基本的にはキャンプ場でもない限り、火気の利用はしないようにしたいものです。今回の旅では念のため持って行ったコンロ関連のものは全く使わずに済みました。

・ポータブル電源

 さまざまな情報収集のために携帯電話をはじめとしてノートパソコンなどの電源にも配慮したいものです。サービスエリア内のお店の中には、無料で携帯電話の充電場所を提供しているところもありましたが、その時間移動することはできないため、充電をどうするのかということも考えた上で旅に出たいものです。一番簡単なのが車のソケットに差す充電関連グッズでしょう。走行中にマメに充電していれば困ることはないでしょうが、私の場合は複数の携帯電話にノートパソコンも持って行ったため、ポータブル電源も2つ持って行きました。その他にモバイル用のUSBソケットが2つ付いたリチウムイオンバッテリーも持っていっています。基本的に携帯電話類は夜にリチウムイオンバッテリーで充電していました。そしてリチウムイオンバッテリーそのものの充電を小さめのポータブルバッテリーで行なっていました。ポータブルバッテリーは容量が大きいので、数日は何の問題もなくリチウムイオンバッテリーの充電ができます。いよいよ容量が少なくなってきた時、車のソケットからポータブルバッテリーを充電するというサイクルで回していました。もう一つの大きいポータブルバッテリーはACコンセントが付いたもので、ノートパソコンの充電専用に使っていました。ただ、持って行ったノートパソコンは超低電圧CPU搭載のもので、満充電から6時間くらいは持つので、それほど全行程を通して充電が必要になるといったことはありませんでした。そもそも、旅先でパソコンに向かってしまうと貴重な睡眠時間を削られてしまうので、メールチェックなどの必要最小限の事のみしか行ないませんでした。おかげで、電源周りで苦労することは全くありませんでした。

・LEDランタン

 夜の車内でエンジンを切れば、当然のごとく車の中に何があるかもわからないくらい暗くなります。食事をするにも何をするにも明かりを確保することは不可欠ですが、単三電池を使ったLEDランタンはかなり明るく便でした。予備の電池をかえるほど役に立っていましたが、あまり明るいものは外から中の様子が丸見えになってしまいそうなので照度を落として使っていました。懐中電灯よりもランタンの方が使いやすいと個人的には思います。

・ジャージ

 車内での就寝時、そのままの格好で寝るというのは避けたいもの。かといってパジャマの類だと夜中にトイレに行く際などみっともないということで、ジャージを持って行っていました。最終日などはどこへも立ち寄る予定はなかったので、ジャージのまま途中のサービスエリアに寄ったりしていましたが、外見を気にしないならこれで十分かなとも思えます。

・ラジオ

 個人的にいろいろなラジオを持っていますが、今回はデジタル式の周波数直接入力可能なラジオを持っていきました。カーラジオもデジタル式で、高速道路上でも地元放送局の周波数が看板で紹介されていますので、まずは走行中に電波状況のいい放送局をつかまえ、車を停めた後でもその周波数を直接入力することでダイヤル合わせの手間を省いていました。遠距離受信を楽しみにラジオを持っていく方はアナログ式の方が便利かも知れませんが、カーラジオから引き続き同じ放送を聞きたいと思われる方はデジタル式の方が便利かも知れません。

・衣類用メッシュ袋

 車の中を乱雑にするものに、着替えをした衣類があります。今回の旅ではこの問題を解決するため、100円ショップで布団を入れるために売っているようなメッシュのジッパーの付いた大きめの袋を持っていきました。ここに衣類を入れておけば、探すときは全てこの袋の中を見ればいいことになります。今回の旅では陶器など割れ物を途中から積んでいったので、クッションの代わりとしても役立ちました。

・運転用スポーツサンダル(かかとが固定できるもの)

 長時間の運転は足が疲れるものです。だからといって裸足やビーチサンダルでの運転は危険極まりないものがあります。私が使ったのは、マジックテープでかかとを固定することができるスポーツサンダルでした。ちょっとした移動の時はこれでしていましたが、長く歩きそうな時はサンダルでは逆に疲れるので、ウォーキング用シューズに履き替えていました。ただ、アクセルやブレーキペダルに引っかかるような場合、ただちに使用を中止してください。気になる方は長距離運転の事も考慮された専用のドライビングサンダルもありますので検討されるのもいいかと思います。

・エアクッション、枕

 長距離運転の宿命として、どうしても腰が痛くなってしまうというのは多くの方が感じられるところだと思います。エアクッションを腰の部分に当てることで多少は解消できる場合もあるので、今回の旅ではエアクッションを付けたり外したりをしながら腰への負担を抑えていました。元々は枕として揃えたものでしたが、小さめのクッションとして使えるものは応用範囲も広く、便利に使えます。空気を抜けば小さくたたんでおけますので、用意しておいた方が私はいいような気がします。

・菓子パン

 今回の旅は渋滞との戦いだと思っていたので、食事にもいろいろと気を使いました。道路の渋滞やサービスエリアの混雑で、ゆっくりと車を停めて食事できないような事もありましたので、運転をしながら(といっても、渋滞中に停まったような状況を想定しています)食べられ、しかも多少の常温保存も可能な食料として菓子パンは常に朝食用に用意しておきました。夕方買って翌朝食べるためのものですが、夕食や昼食を食べる機会を逸してしまったような時でも手に取って食べられるものは意外と便利なものです。お菓子類でもいいでしょうが、お菓子はどうしても高くなりがちです。満腹感もお菓子ではなかなか得がたいので、長距離移動の旅には菓子パン類の常備が意外に役に立つことが今回の旅でわかったような気がします。

 最後に、寝床のセッティングについて書いておきたいと思います。ページ紹介ではできるだけお金を掛けずに安いものでセッティングをした例を紹介していますが、今回収納性と快適性を追求していった結果、キャンプ用グッズの組み合わせで快適な就寝環境を得ることができました。



 まず、背中にあたる部分にあてる板は折りたたみ製のケースで変わりません。その上に置くのが、キャンプ用のマットとしてロングセラーの折りたたみ式マットであるサーマレストの「Zライト」です。パタパタと折りたむことで形も変わらず、車での運搬も簡単です。ただ、これだけだと凸凹しますので、その上に空気を入れて膨らませるインフレータブルマットを載せます。以前紹介したイスカのマットはそれなりに厚くて申し分ありませんが、付属の収納袋に入れるのに苦労します。そこで厚さは薄めながら、マジックテープが付いて片付けの簡単なマジックマウンテンのアルピニスト160と組み合わせてみました。これで十分な寝心地を得ることは可能なのですが、就寝体勢を取った時、腕を運転席側がマットを敷いた分段差が出てしまうので、これをクッションで埋めることでさらに快適になります。具体的にはイスカのキャンプピローを膨らませて運転席に置くだけです。この上に寝具を掛ければ終了なのですが、今回は寝袋は使わずにユニクロで購入した「エアテック布団+」を使いました。真冬はこれだけでは厳しいでしょうが、春先の寒さには何とかこれで対応できるように感じます。この布団のいいところは他にもあります。収納袋が標準で付き、かなりアバウトにたたんでも収納できます。マット類でもそうですが、雨の時などは車内だけで設営および後片付けをしなければならない状況も考えられます。山にすべての物を担いで行く用途では少々きつくても小さくまとまるものが重宝すると思いますが、ある程度の収納スペースが確保できる車での移動については、むしろ仕舞い易さを追求した方が現地で苦労しなくてすみます。車内のスペースと相談しながら、実際にセッティングをしていく中でベストな組み合わせというのは私としては今のところこの組み合わせだと思っています。また次の旅に出た際、今回見付からなかった問題点が出てくるかも知れませんが、そういうところを改善することで、車中泊の旅の快適性をこれからも追求していきたいと思っています。


 

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