魁!!クロマティ高校(野中英次・2000年〜)

 

 確かにおもしろい漫画なんですが、かなりネーム(吹き出しの中の文字)が多いんですね。果たしてこんなアプローチの漫画が『少年マガジン』で受けているのか? 今日日の中学生高校生はこれが面白いのか? 疑問に思いつつも先日なんと、あの朝日新聞で取り上げられていたということで、ここでも紹介しようと改めて1巻から3巻まで(ついでに並んで置いてあった『子供用・課長バカ一代』も(^^;))を読んでみました。

 題名は、知らない人もいるかもしれませんが、漫画の中で実在の高校名を出して連載中止になった少年ジャンプの『私立 極道高校』と、同じ作者でその後に連載の始まった『魁!! 男塾』から影響を受けたものでしょう(あと、○○高校と名がつくものでは、少年チャンピオン連載の『熱笑!! 花沢高校』がありますが、こちらの方は最初はギャグマンガとしてスタートしたものの後半になって全然趣の違うド真面目な戦争スペクタクルものになってしまいました(^^;)。従ってこれは関係ないか)。そのことからもわかるとおり、私ぐらいの年代のいい大人にとっては微妙に元ネタがわかる構成になっています。ロックグループのKISSとQUEENのキャラクターがでてきますが、メイクしたKISSのメンバーはともかく、QUEENのフレディ・マーキュリーは微妙に似ていないのが可笑しいのですが、やはり一世を風靡したロックスターというのは、その人のことを全然知らない人にもインパクトを与えることができるという好例でしょうね(^^;)。

 しかし不思議なのが、全体の絵のタッチがほとんど池上遼一さんを模しているにもかかわらず、盗作だと池上さんが騒がないことです(^^)。逆にいうとこの国のマンガというのはキャラクターの利用についてはそんなに目くじらを立てて騒いでこなかったということがいえるでしょう。もしちょっとした真似にも著作憲法違反だというような社会だったら、シリアスの代名詞である池上さんのマンガをおちょくるような内容であるこのマンガ自体が成立しなかったでしょう。もっとも、編集者の方で何らかの対応はしているのかもしれませんけどね。

 最初にネームが多いと書きましたが、作者の作るストーリーはそれ自体で笑いがとれるクオリティを持っています。その中である種、異常ともいえるシリアスなキャラクターたちの演じようがこの作品の屋台骨を支えているのだといえるでしょう。魔夜峰央さんのパタリロなども似たタイプの作品かもしれませんが、主人公はさすがにシリアスを押し通すことができず、脇役もしばしばデフォルメされてしまっていました。あえてクロマティ高校の中でそういうキャラクターを探すとすればお茶缶をイメージした「メカ沢」というキャラクターくらいです。以前の『課長バカ一代』とかぶる部分があって、今後どう展開していくのか心配ですが、それ以上に読者アンケートで若年層の評価を得られるのか不可解ですね(^^;)。でも、楽しみにしている子供でない読者のためにもしばらくは連載が続いていってほしいです。(2001.12.13)

 


 

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