パソコンでGPS

 

こんな感じで表示されます

 

 パソコンというと、ワープロに毛がはえた物のような感じで認識している人というのは結構多いのかもしれません。仕事に使っている人でさえ、表計算ソフトとか画像処理ソフトとか、いわゆるキーボードやマウスで作業するという範疇から抜けだすことができません。そうでなくて、せっかくモバイルしているのですから、インターネットをしたり日常の作業状況を持ちだすなんていう思想から一歩抜けだして、外でなくては使えない(つまりデスクトップのパソコンではそもそも無理)使い方を試して見る時期なのではないでしょうか。今回はそういう使い方を目指して、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで資金を工面しました。しかし、これが実現するようですと、通常私たちが考えているのと比べてかなり安い費用であることができます。欲しい欲しいと思いながら、なかなかその手間と費用の面があり導入に踏み切れないGPSを、私が使っている使い古しのノートパソコンで実現しようとしているわけです。果たして専用機と比べて、使い古しのパソコンによるGPSは使えるのか。そのことを考える前に、私たちにとってGPSというのは本当に必需品というべきアイテムなのかということを考えてみたいと思います。


どうすればナビができるか

 私は仕事柄車を毎日使っていますが、通常の使用方法ではGPSの必要を感じることはありません。道はすでに自分の頭の中に入ってしまっていますからね。使いたいなと思うのは、レジャーなどで自分の全然知らない町に車で出かける時ぐらいです。多くの人は毎週末遠出をしているわけでもないのに、これ見よがしに車載のモニターを目立たせている車を見かけます。そういった装備の充実は盗難の危険というのも孕んでいますし、これから暑い日が続くと、車内の温度は急激に上昇しますから精密機械であるシステムを放置するというのにも抵抗があります。最近はポータブルナビゲーションシステムという、車の外にも持っていけるナビゲーションがありますが、これだって10万から15万ぐらいします。まあ、ポータブルテレビとかインターネットに接続できるという付加価値を付けているものもありますからそれを含めて価値を判断するのも一考ですが、それだったら一昔前のノートパソコンが利用できないかと考えるのが筋というもの。では、普通のノートパソコンがどうすればカーナビになるのか、だいたいのところを書いてみましょう。

 

 とまあ、こういうことになるのですがパソコン本体のハードディスク換装などしなくても済むような場合、だいたい予算が5万円もあれば十分カーナビゲーションが実現できます。しかも、地図にマーキングしたものをパソコンで加工できるわけですし市販のカーナビと比べるとなんという安い値段で実現できるのでしょう。これだったらそんなに使う機会が持てなくても、導入して見ようかなと思われる方も多いのではないでしょうか。私の場合の器材を紹介しながらその使い勝手のレポートをこれからしてみます。導入を考えておられる方、どうぞ参考にしてみてください。

器材紹介

 

 まずパソコンですが、最初私は今はほとんど使っていない『リブレット30』の利用を考えていました。コンパクトなボディはダッシュボード周辺に固定できそうだし、液晶もTFTできれいに640×480の画面表示が可能です。ハードディスクは換装してあって1GBの奴が載っていたので、アプリケーションソフトを最低限のものだけにし、地図のデータも全国でなく周辺地区だけに区切れば利用可能と踏んでいたのですが。問題はCPUのパワーでした。後継機種の『リブレット50』だったら問題なかったと思うのですが、画面表示が遅くて実際の車の動きについていけないというのが大誤算でした。後述するGPSアンテナのPCカードはそれ以前のCPUも動作保証していたので返す返す残念です。そこで、今度はペンティアムを積んだ『シンクパッド535』の登場となりました。もちろんリブレットと違ってちゃんと画面表示も付いて来るのですが、それ以上に驚いたのは10インチ800×600の画面の広さでした。カーナビ専用機のモニターは、ご存じのとおり小さくて全体の地図を見るには見にくいものです。これはパソコンナビに共通して言えることなのかもしれませんが、画面が大きくて普段使っているパソコンと同じ操作性というのはとてもいいものです。問題は助手席の座席にしか置けないとか、同乗者がいたら膝の上に乗っけてもらうようになるので、底面の発熱に耐えてもらわなくてはならないということとか。ただこれにも例外があります。普通のパソコンとは違ったウインドウズCEでもナビゲーションが可能なので(その場合、大量のデータを本体に置いておくことはできないので、一部の地域だけとなりますが)置く場所に工夫すればそこそこ使えます。ノートパソコンでルート検索をして到着した市街地周辺のナビゲーションはCEマシンで行うとか、ワープロだけに使っていては本当もったいないということを実感させてくれます。

MapFanパッケージ 次にナビゲーションソフトですが、市販されているどのソフトにもウインドウズパソコンによるナビゲーション機能が付いていますが、ひとつインクリメントP株式会社の『Map Fan』だけが、ウインドウズCEでも地図を切りだして使えるということで今回は全国詳細版をジャスト一万円で購入しました。ハードディスクの容量の関係から、都市の詳細地図はインストールしていませんが縮尺は最大で6250分の1(都市詳細図はその半分の3125分の1)です。私の持っているマップル(紙の道路地図(^^;))の縮尺が10万分の1と言うことを考えると、これで十分な気がします。ルート検索もできますし、道を外れた場合のルートの再計算、周辺のお店を検索し、そこへの道順も示してくれます。ただ、そうした一連の作業は運転しながらはできないので(^^;)、同乗者に頼むか車を止めてから行うことになります。それから、携帯電話などでインターネットにつなげる事ができれば、もっと最新で詳細な情報をネットから入手し、連動させることができます。専用機のカーナビでも、ソフトまで最新というわけにはいきませんから、こうしたことが簡単にできるパソコンのカーナビの優位さというものを実感できる一つのケースといったところでしょうか。また、パソコンの中に入っている住所録をコピーペーストしてソフトで検索をすれば、どこの住所でもだいたいの場所を把握することができます。こんなことが簡単にできるのもパソコンならではでしょうね。

PCGPS一式 次にアンテナです。最近どこのパソコンショップにいってもあるのが、ソニーの『ジートレックス』というパソコンと離れて持ち運び、マーキングしてから地図ソフトに反映可能というアンテナです。ナビゲーションソフトの『Navin’You』とのセットが大体4万円強という価格で売られていますが、これはUSB接続が基本なので、ちょっと中古のパソコンでは手が出ない。ただ、ウインドウズ98でPCカードアダプタを使っての接続が可能であるなら、これ単体でも使えるので一考の余地はあると思います。カーナビ専用機と比べても遜色がなく、音声によるガイドにも対応しているのもポイントが高い部分なので、今後パソコンでGPSをやりたいという人はそういう観点でノートパソコンを選ぶのも一考だと思います。私の購入したのは、消費電流が80mAとウインドウズCEでも利用が可能なPCカード型アンテナのI/Oデータ機器の『PCGPS』という製品です(写真参照)。購入金額は26,800円とちょっと高めでしたが、予算が5万円の範囲で収まればいいということだったので納得して購入しました。消費電力が少ないということは、車に乗せて使う時であっても万が一のバッテリー上がりの危険を下げることができます。カタログデータではウインドウズCE機では内蔵モデムによる通信時間よりも長く使えるという結果が出たとのこと(シャープテリオスHC-A11でバックライト省電力で実験したところ連続使用時間6時間)。私の使っているJornada690でもそれくらいの連続使用ができそうです。となると、車からのナビゲーションだけでなく、歩いてのナビも可能なわけで、まあ、歩きながらパソコンを操作して、地図に自分の足跡をきざみながら移動するというのも恐いものがありますが、始めていった市街地で迷ってしまった際のお守りとして持っていても悪くはありません(^^;)。電源周りの問題も解消されるとなれば、このウインドウズCEでのナビゲーション可能なこの製品は結構お薦めという感じがします。ただ、ルート検索という高度なことはできず、自分の位置を確認するという使い方になるので、それなりに割り切って使われるのがいいかと思います。また残念なのは、このアンテナでは先述の『Navin’You』の利用はサポートされていないということです。このアンテナで音声ガイド可能な『Navin’You』が使えるのでしたら、もう少し投資してもいいかなと思っていたのですが、そうは問屋がおろしてくれませんでした(^^;)。それから、地図ソフトで切り出しを行う際、白黒に変換して出力するという機能もあります。とすると、乾電池で駆動するNECのモバイルギアでもナビゲーションが可能なわけで、特に直射日光で見にくいのが照度不足のパソコンのモニターなのですが、このモデルだったらそういう心配はありません。本当に守備範囲が広い製品というのはいろいろなことが考えられて楽しいです。

インバーター 必要な器材が揃ったら、今度は電源周りの心配をすることにします。車で普通のコンセントを使えるようにするためには、シガレットライターの端子を使うことになります。ただ、このままでは使えないので、メーカーがサポートしている車用の電源コードを購入するか、車の電源を家庭用のコンセントでも使える形に変換してくれる機械を導入するかのどちらかになります。専用のカーバッテリーコードはそれなりに安心ですが、パソコンなどの場合サポートされていなかったりしますし、やはりここはどんな器材でも使える汎用のDC/ACインバーター(写真参照)を購入するほうが有利でしょう。行きつけのホームセンターで見つけたインバーターは、総ワット数150ワットまで使えるもので、ディスカウント価格が4,800円でした。使える電気の量が多ければ多いほど高いのですが、あまり欲張って使いまくると、車のバッテリーが上がってしまう恐れがあります。パソコンを動かす程度なら100ワット程度でも十分ですので、予算に応じて選んでみてください。

ポータブル電源 さあ、そうしたら後は実際に使ってみるばかりかというと、実は私の場合そうはいかないのです。私の車は軽自動車なのですが、この車種は夏の暑い日など、エアコンをがんがんかけまくるなど小さなバッテリーへの負担が増えることを考えてシガレットライターがついていないのです(;_;)。これについては早急に電装設備を追加することにしました。カー用品売り場で、ソケットだけを購入し、電源をとって無事にインバーターも稼働しました。これでエンジンをかけた状態では問題なく電源を取ることができます。ただ、考えなければならないことは、車を停めている時のことですね。軽自動車のバッテリーは小さいので、アイドリングなしの状態ではすぐにバッテリーが上がってしまいます。実はそこらへんのことを十分考えて、車内でも使えるポータブル電源を購入しました(写真参照)。今回購入したのはだいたい85ワットぐらいの電力消費量に対応していて、家庭で簡単に充電が可能というもの。もちろん車の中だけでなく、外に持っていって使うことができます。これも安売りの時を狙っていって、4,980円で購入しました。単なるバッテリーとは違って、13時間連続点灯可能なライトや、バッテリーが上がってしまった時などに対応する出力端子もつき、シガーライター端子も2個ついています。これで、移動中でもそうでない時でも、車内で安定したパソコン運用が可能になったわけです。

座席固定の例 最後にパソコンや電源などをどう配置するかという問題もあるわけですが、取りあえずノートパソコンをそのまま座席に置いてしまうと、そこから出る熱で大変なことになりますので、とりあえず発泡スチロールの蓋を利用して、座席の上に置いてみました。そして、急ブレーキをかけてもパソコンが飛び出したりしないように、シートベルトで固定してみました(^^;)。どちらにしろ、こうした装備はそっくりそのまま別の車に組み替えることが可能ですから、皆さんの載っている車の車種によっても必要なグッズは違ってくることでしょう。

 さて後は実践あるのみですが、ここでこれまでにかかった費用をおさらいしておきましょう。いずれも消費税抜きの価格でアンテナが26,800円、地図ソフトが10,000円、インバーターが4,800円にポータブル電源が4,980円。合計46,580円に消費税をプラスして、48,909円がパソコンGPSにかかった費用の全てです。一通り試したところ、市内中心部のビルが立ち並ぶ場所では、多少誤動作がありますがおおむね正確に現在位置を測定できます。ただ、アンテナはしっかり水平に設置しないと、かなり方向がずれます(^^;)。現在位置が駿河湾の中央を差した時は、マジで焦りましたから(^^;)。今後は真夏の太陽でノートパソコンが爆発しないように、ファンなどで冷却を計る器材の導入とか、その都度いろいろ考えていきたいですね。まあ、地図でわかるところは地図を使い、いよいよ迷ったらおもむろにパソコンの電源を入れるというのが正しい使い方なのかもしれません(^^;)。(2000.6.2)


私のお気に入りのページへ

ホームへ

ご意見、ご感想をお寄せください

mail@y-terada.com