埼玉県にできた鉄道博物館は連日すごい人出だそうですが、こちら東海地方でも名古屋に新しく鉄道博物館が作られるということで多くの人たちの期待が高まっていることでしょう。そのためというか、今まで飯田線の中部天竜駅にあった「佐久間レールパーク」がその役割を全うし、2009年11月1日でその営業を終了することになりました。実を言うと、できてから一度行こうと思いつつもまだずっと行けないままだったのですね。レールパークは現地までの乗車券があれば無料で見学できるのですが、今回は原付で行くことにしました。自宅のある静岡市から佐久間までは往復230キロと距離がありますが、ガソリン代は1,000円未満で済みますし、入場料の140円とあわせても1,000円ジャストくらいで、鉄道利用よりも安上がりになります。写真の入場券はお金を出して購入しないともらえませんでしたし、レールパークが閉まる前に行けて良かったと思います。以下にその旅の様子を紹介しましょう。
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原付で長距離を走る場合、できるだけ国道は避けながらルートを決めたいところです。大型車がスピードを上げて走る脇を一緒に走行するのは安全の面からしても避けたいものです。静岡市内から西へ向かう際には安倍川を渡らなければなりませんが、今回は国道1号と150号の間を通る静岡大橋を渡ることにしました。この橋を渡っていくと、そのまま直進し東海道の旧道に出られます。古い町並みを見ながら進むにはこちらの橋を通るのがおすすめです。 |
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鞠子(丸子)宿で江戸時代から営業を続けているとろろ汁で有名な「丁子屋」です。藁葺きの屋根でそれらしい雰囲気がありますが、中はかなり広く、観光バスもいつも停まっている観光名所です。ツーリングの途中に立ち寄るのも趣があっていいかも知れませんね。ちなみに、今回は簡単な弁当を持っていったのでここはそのまま素通りです。 |
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旧道からいったん国道1号のバイパスに出て、道の駅「宇津ノ谷峠」からまた旧道へ入ります。国道のバイパスには立派なトンネルがあるのですが、トンネル内の走行は実に原付にとって危険際まりないものなので、旧国道のトンネルに回りました。この宇津ノ谷峠には年代別にさまざまなルートがあります。平安時代から使われていたという「蔦の細道」、江戸時代に使われた「旧東海道の山道」、明治時代になって掘られた徒歩用の「明治のトンネル」、そして大正から昭和の時代にかけて作られた「大正のトンネル」、そして現在多くの車が行きかう国道のトンネルが昭和時代には一本だけでしたが、平成になって開通し、上下線二車線化が実現しました。時間があればバイクを停めて、旧東海道を歩くなり、明治のトンネルや宇津ノ谷街道にある豊臣秀吉拝領の羽織を飾っている「お羽織屋」などを見学するのもいいかも知れません。 |
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宇津ノ谷峠を越え、岡部宿の旧道を通り、しばし国道1号を走行することになります。藤枝から島田に入り、大井川を越えます。私が通った時はある程度渋滞していたので、かえってその方が危険を感じることなく橋を渡れるので結果的に良かったですね。そこから牧の原方面に向かうのに、バイパスを避けて小夜の中山峠を通ります。ここは夜泣石という大きな石があり、古くから伝わる「子育飴」を売るお店があります。周辺案内もあるお店のページはこちらです。 |
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小夜の中山峠から日坂宿を抜け、バイクは掛川市に入りました。ここでまた国道と合流し、しばらく走ると県道40号掛川天竜線の標識があります。清水次郎長の子分である森の石松でおなじみの森町から天竜二俣へと続く道です。国道1号を右折して入ったこの道は、そこそこの混み具合でバイクで走るにはとてもいい感じでした。こちらは掛川市内で道すがら見付けた彼岸花の群生地です。このようにちょっとわき道にそれてインターバルが取れるのも、車でないバイクでの旅の醍醐味と言えるかも知れません。 |
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掛川から森町に入り、天竜二俣を通り抜け、県道からいよいよ国道152号(秋葉街道)に入ります。天竜川を間近に見ながら進むのですが、工事関係の作業船とすれ違いました。ここからもう少し行ったところにある道の駅「天竜相津花桃の里」で遅い昼食をとりました。川沿いの道はトンネルも多く、原付では少々怖いところもあったのですが、それほど交通量は多くなかったのでそれほど問題なく通れました。ただ、日が陰っていたのでもう一枚はおるものがあれば良かったですが。 |
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佐久間地区に入ったらとたんに集落が現れ、あれよあれよという間に目的地である「佐久間レールパーク」へとたどり着きました。自宅を出たのが午前10時過ぎと遅かったこともあり、佐久間レールパークを併設する中部天竜駅に着いたのは午後2時半ぐらいで、ノンストップでも4時間かかったことになります。すぐ引き返しても帰りは夜7時を過ぎてしまうとゾッとしてしまったのですが、せっかく来たのですからじっくりと見学することにしました。 |
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奥にあります建物の中には鉄道模型の走るジオラマや駅名のプレート、キップを販売するマルスの実物やタブレットなどさまざまな展示がありますが、やはりここの見所は数多くの車両をそのまま展示していることでしょう。電車の中には入れるものと入れないものがありますが、本物の姿をじっくり楽しむことができます。子供連れの方には帽子や制服が写真撮影のために貸し出しをしていますので、その気になっての写真を撮影することができます。ごらんのように当日も多くの親子連れが見学をしていました。 |
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最初にも書きましたが、こちらの施設は2009年11月1日で開館されます。手前に写っている人たちはJRの腕章をはめてビデオ撮影をしていました。この施設の代わりとしてJR東海は2011年春に名古屋に新しい博物館をオープンさせるとのことです。ここもかつて秋葉原にあった交通博物館のようにその使命を全うするということなのでしょうが、こじんまりとしたいい雰囲気の博物館がなくなってしまうのは少々寂しくもあります。 |
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名残を残しつつも帰りの道を急ぐことにしました。天竜川は水量も多めで、道すがらさまざまなダムの姿を見つけることができます。こちらの写真は秋葉ダムですが、この写真を撮ったところからすぐトンネルになっていて、トンネル内で分岐し、ダム方面に行けるようになっています。天候がすぐれなかったのでそのまま通りましたが、ゆっくりと見ていたい風景でした。 |
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原付で国道を走る場合、昼よりも夜の危険性がどうしても高くなります。往来の激しい道路では凸凹を見落としてしまう場合があり、できるだけ日があるうちに帰り着きたかったのですが、何しろ今回の出発が10時過ぎと遅かったというのが全てでした(^^;)。それでも何とか無事に帰り着きました。写真のような見事な夕焼けにも出合えましたし、何しろある程度遠くでも原付で走り通せる自信が付きました。ちなみに、今回の旅では食事はすべて家から持ってきたものでまかなってしまったので、かかった費用はガソリン代と佐久間レールパーク入場券の140円だけでした。長距離の移動は思いのほか体にきましたが、これからいろんなところに原付のみで出掛けてみたいと思っています。 |
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