日本一自虐的な温泉宿

 

夢の吊り橋

 こちらの写真は有名な温泉から行くことのできる吊り橋の写真なのですが、その温泉街の中に表題の「日本一自虐的な温泉宿」があります。とは言ってもその宿の方はそう自虐的だとは思っていないかも知れません。しかし、客観的に見るとここまで宿の負の歴史をキャッチフレーズに使ってもいいのかとすら思います。

 この温泉はどこかといいますと、静岡県本川根町(2005年6月現在)にある寸又峡(すまたきょう)温泉です。温泉開発の歴史というのは意外と古く、明治22年共同浴場、湯山温泉として開発され、その後3回に渡るボーリングによって、温度43度、毎分540リットルの自然湧出に成功、源泉から温泉街まで3790mを引湯し現在に至っています。 南アルプスの麓より自噴する天然温泉の成分は、硫化水素系の単純硫黄泉、温度は43.7度。つるつるすべすべの肌をつくるといわれ『美人づくりの湯』として知られています。

 温泉とともに有名なのが上の写真にある「夢の吊り橋」で、個人的にはお金を取っても十分楽しめる橋だと思うのですが、温泉街からだいたい90分というハイキングコースになっていて、新録の季節はもちろん、紅葉の時期にもその風景を楽しむことができます。

 ここまでは普通のガイドブックに書いてあるような話ですが、この温泉場には、ひとつの黒歴史とも呼べる大事件の舞台になったことがあります。それが「金嬉老事件」でした。事件の内容についてはリンク先の記述を読んでもらうとして、それ以前に映画やテレビドラマにもなったりしましたからどんな事件だったかご存知の方も多いでしょう。こういう事件というのは温泉街にとってはイメージダウンになってしまう可能性が高く、ガイドブックや観光のホームページでこの事件の事を書いているものというのはほとんどないと思います。金嬉老氏(現在はいろいろあったものの刑務所から出所し、国外にいるので敬称付きで書きます)が篭城したのが「ふじみや旅館」です。

 リンク先が宿のホームページになっていて、ここでは金嬉老事件については全く記載がありません。しかし、実際に現地へ行ってみて驚きました。下の写真をご覧下さい。

ふじみや旅館

 今回は私一人でなく、同行者がいたためさすがにここまででしたが、この張り紙によると、どうやら食事だけでも当時のビデオ(^^;)を見ながらできるようです。しかし「金嬉老籠城でおなじみ」というキャッチフレーズは、日本のどの温泉と比べても、こんな旅館は他にはないだろうと断言できます。この調子だと、籠城した部屋を指定して泊めてくれたりもできるのかも知れませんね。

 もし、これ以上のキャッチコピーを持つ温泉旅館を知っている方がおられましたらぜひともご一報下さい(^^)。(2005.6.2)


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