豆州下田歴史散歩

ハリス記念碑

 私の住む静岡市から、車で三時間あまり、伊豆半島の南端下田市は歴史の重みを感じることのできる観光都市です。幕末には黒船がやってきて、アメリカやロシアとの外交の舞台となりました。上記の写真の一番上に書いてある名前を見てください。これは、下田・玉泉寺に昭和二年に立てられたタウセゼンド・ハリスの碑です。私がここを訪れるちょっと前に、そのタウンゼンド・ハリスの名前を取ったニューヨークの高校の留学生が見学に来ていたとのこと。もう少し早く出ていれば、そんなレポートもできたのですがね。これから、デジカメで撮った写真に説明を加えるような形で、ハリスを軸にする形で、下田の町を紹介していきましょう。


豆州下田郷土博物館

 なにはともあれ、最初に訪れたのが「豆州下田郷土資料館」。ここは、ペリーやハリス、唐人お吉、ロシアのプチャーチン提督とヘダ号、吉田松陰の密航失敗に関する展示、写真術の開祖・下岡蓮杖の作品などたくさんあるのですが館内は撮影禁止なので外観を写すだけに留めておきます(^^;)。
 下田の歴史に疎い方は、まずここを訪れてから他の興味あるところを回られるのがいいかと思います。ちなみに、入場料は1000円です(小・中学生500円)。

下岡蓮杖の池

 展示物のうち、これだけが外にあったので写してこれました(^^;)。下岡蓮杖は、ハリスの通訳としてやってきていたヒュースケンに写真技術を学んだと言われています。もともとが絵描きであった蓮杖は、精密にものの形を写し取ってしまう不思議な技術に興味をもち、写真術の開祖と呼ばれるようになりました。しかし、現在はデジカメのこんな写真も簡単に写せるようになりまして、蓮杖はどんなふうに思うのか、興味津々というところです。

安直楼

 ハリスといえば、セットで有名なのが「唐人お吉」と呼ばれた斉藤きちです。物語やお芝居では、ハリスの妾として呼ばれたことになっていますが、本当は胃を患っていたハリスが看護婦として呼んだと言うのが事実なのです。異人さんの妾になるつもりで出かけたお吉にとっては何が何だかわからないうちにハリスの方から解雇されてしまいます。出戻ったはいいが、一度異人さんの所に入ったということで、好奇の目にさらされるのに堪えきれず、お吉はしばらく下田から姿を消します。それからしばらくして下田に戻って開いたのが、この「安直楼」という料理屋でした。現在は寿司屋として営業を続けています。お吉はその後、酒に溺れ、店も人手に渡し、浮浪者にまで落ちぶれて無残な最期を迎えるのです。

玉泉寺山門

 下田市内から須崎の方へ向かう途中、昔の柿崎村にあるのが、日本で最初のアメリカ領事館となった玉泉寺です。山門の奥にある本堂にハリスは住むことになりました。住職さんに聞いた話によると、事前に幕府より寺を明け渡す話があり、ハリスがやってくる前にご本尊など本堂にあったものは別の場所に移されたとのこと。ここには通訳兼助手のヒュースケンと、料理などを作る中国人も一緒に住んでいました。

牛乳の碑

 当時の日本とアメリカでは、食生活も当然違います。肉を食べるため、鶏や豚を飼ったり、牛乳を飲むため、牛もつれてきたということで、こんな「牛乳の碑」があります。日本人は飲まず、ハリスら、限られた人だけが飲んだと言うことですが、日本における牛乳発祥の地ということだそうです。しかし、それ以前に牛乳を飲んでいた人がいるなんていう話もありますので、下田が牛乳発祥の地かというとはっきりとは言えませんね(^^;)。

ハリス記念館

 玉泉寺には「ハリス記念館」があるのですが、残念ながらここも撮影禁止なので看板だけ写して帰ってきました。このあと、売店の所にいた住職さん(?)と少々話をし、ハリスの伝記を買ったら、ハリスのニューヨークでの生活に関する小冊子をおまけにといただきました(^^)。

蓮台寺温泉源泉

 帰り際、せっかく来たのだから温泉にでも寄っていこうと下田温泉の源泉である蓮台寺温泉に行ってきました。この源泉からは、お湯がこれでもかというぐらいに溢れ出ていて、せっかくだからとたまたま車にのっていたペットボトルに温泉を汲んで帰りの道すがら飲みつつ帰ってきました。ここの温泉は単純泉で、旅館などでも料理に使ったりするそうなので、飲んでも全然大丈夫。喉を潤すには十分で、こんなに湯量豊富な温泉が近くにある人達が羨ましくもあります。

金谷旅館外観

 蓮台寺温泉郷の一つ河内(こうち)温泉の一軒宿・金谷旅館です。ここは江戸時代から創業していて、現在使っている建物も、大正から昭和の初めに作られたという結構風格があるところです。ここでは日帰り入浴も行っていて、二時間まで1000円で入浴することができます。ちょっと高いと感じる方もいるかも知れませんが、取りあえず下のお風呂をご覧になってください。

金谷旅館千人風呂

 これが、金谷旅館の「千人風呂」です。大きな木造のお風呂で、左側の部分の深さは1メートル以上あって、奥行きも結構あるので悠々と泳げます。手前の部分は普通の浴槽の深さになっています。写真に写っていない更に手前には、少し熱めのお湯と、温めの湯が常に出ています。窓の向こうは露天風呂で、打たせ湯と気泡風呂があります。基本的には男風呂なのですが、女性用のお風呂からも入ることができる作りになっています。しかし、女性風呂もこれとは一回り小さいながらも同じように泳げるほどの広さを持っていますから、ご心配なく。


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