今回の旅は自分の意思で行こうと思って計画した旅ではありません。たまたま10数年会っていない知り合いが集って京都で飲み会を開くということを友人から聞き、あわてて宿泊から交通手段の算段を始めました。
当初は車で行ってホテルの駐車場に車を停め、飲み会に参加して翌日の午前中にはのんびり車で自宅まで帰ろうと思いめぼしいホテルを予約しようとしたのですが、普段ならそんなに混んでいないビジネスホテルが軒並み空室なしという状態になっていて、後で聞いたところたまたま今年は週末になった京都の時代祭(10月22日)と重なったためどこのホテルも空いていないということがわかりました。そんな中、友人経由で空きのありそうなホテルを調べてもらっている中で、大津市に何とかシングルの部屋が取れるところかあると紹介してもらいました。やれやれと思ったものの、残念ながらそのホテルの立体駐車場は私の乗っているワゴンRでは入れないことがわかり、この時点で車で行くことを断念しました。自分の都合ではなく回りの都合に合わせるということである程度仕方がないということもあるのですが、どうしようかと考えつつこのお話を持ってきてくれた友人と電話で話し、その友人は関東地方から夜行バスで出掛けるということだったので、私も静岡から京都・大阪まで夜行バスが運行していることを思い出し、自分も夜行バスを取るから一緒に観光しようとつい言ってしまったのでした。幸い行きのバスの座席を確保することができたので、帰りは新幹線で行くことを考え、新幹線こだま号の指定席と1ドリンクがセットになった旅行クーポン、ぷらっとこだまで行く路線をJR東海ツアーズで探してもらい、何とかクーポンを確保することができました。改めて考えてみると、移動に全く車を使わない旅というのは最近はほとんどしていませんでした。少し前なら夜行列車が東海道線に走っていたのですが、それも廃止され、夜行の便は現在は夜行ばすしかありません。列車と比べてどうなのかと思ったものの、まがりなりにもカーテンで自分のプライベート空間が維持できる夜行バスの方が快適なのではないかと思ったのですが、久しぶりに乗る夜行バスはなかなか大変でした。
旅の題名としました48時間の旅というのは、金曜日の夜に自宅を出て、日曜日の同じ時刻に帰着するという日程になってしまったことに起因します。自宅付近の路線バスの最終便に乗っていくとうまい具合に駅の高速バス発車の時間につながり、帰りはちょうどそのくらいの時間に帰ってきたという事です。
何やかんやで金曜日の深夜静岡駅のバス乗り場に着き、定刻より早めにやってきたバスに入る前にチケットの確認をされ、そのままチケットを渡して乗車となります。本来4列のところを余裕を持って3列にしているということもあり、もう少しいい環境であることを期待していたのですが、毛布や足載せなど、快適に寝るためのさまざまな装備を利用してはいるものの、いかんせん写真のように全体のサイズが小さいということは否めません。帰りに使った新幹線の座席と比べると、私の慎重175センチではなかなか足を伸ばして寝ることができません。荷物を載せる網棚も小さく、感じとして普通車の後部座席で寝るというイメージがぴったりとします。縦に狭いということもあり、私の周辺でもリクライニングシートを倒して寝ているという人はそれほどなく、我慢しながらの長旅となりました。今回の旅ではバスに乗ってからすぐにハプニングが起きたのですが、私と同時にバスに乗り込んだ女性2人組がいまして、その方たちは乗車日と降車日の間に日付が変わるということをよく考慮しないままチケットを買ってしまったようで、翌日乗車分のチケットを出してバスに乗ろうとしていました。その日は満席だったので救済措置もなくそのままバスから降ろされてしまいましたが、その後、どうしたのかというのは他人事ながら気になります。皆さんもこうした事にならないように、日付をまたいで乗車する乗り物のチケットを取る際には本当にこの日付けでいいのかということは、十分に予約時に確認しておいたほうがいいでしょう。私の場合はバス会社のカウンターで予約を行なったので、重々確認の上、22日から活動できるよう21日夜発のキップを購入できました。
バスが静岡駅を出発し、東名高速道路に乗った後、途中の牧之原のサービスエリアで一回だけ休憩があります。その休憩の後に消灯となり、カーテンを利用して席の周りのプライバシーを確保することができます。しかしその時点で時刻は12時を回り、京都駅にバスが到着するのが午前5時半というタイムスケジュールなので熟睡できるはずもなく、シート自体は柔らかいものの空気を入れたクッションを腰の部分にあてることでかろうじで体の痛さから逃れつつ、それでも相当消耗したまま雨の降る京都駅に到着しました。
合流する友人が京都駅に着くのが6時を回る頃ということで、とりあえずトイレをさがしたところ、普段開いているはずのトイレは6時からということでなかなか開いているトイレに入れず、ようやく地上1階の中央口そばにあるトイレにたどり着き、ひとごこちつきました。ただ、相変わらず頭の中はどんよりしていて調子が出るまで時間がかかりそうだったので、持参してきたインスタントコーヒをを自宅から用意してきたお湯で作り、少々濃い目のコーヒーを飲んでやっとまともに動けるようになりました。バスに乗車中の友人にメールを送り、到着予定のバスが少々遅れるということを聞き、それまでの時間持参のノートパソコンを使ってブログ更新をすることに(^^;)。しかし、京都駅の改札付近には座って作業できるスペースが皆無といってもいい感じでした。外は雨が降っているし、立ったままでは両手で文章を打てないしと思っていたところ、一部の営業を開始したみどりの窓口の隅に使っていないカウンターがあり、そこにある座れるパイプ型のベンチがあったのでそこを使わせてもらうことにしました。普段の生活の中ではこうしたちまちました作業はめんどくさいだけですが、こういう時には時間を有効に利用できる方法として役に立ちます。
そんなこんなで友人と合流した私たちは、朝食に名物のラーメンを食べることにしました。午前五時からやっている京都ラーメンの「第一旭」は、意外とあっさりしたスープに麺もよく絡み、注文した写真の特性ラーメンは肉の量が多めですが、写真のラーメンはとても朝から食べられないという方のためか、ねぎ抜きや肉ぬきのラーメンもメニューにはあります。朝ラーメンというと最近は静岡の藤枝周辺で盛り上がりを見せてはいるものの、京都のこのお店や、隣にある「新福菜館」(午前7時半から)のラーメンやヤキメシもかなりおすすめです。
ネットを繋いで情報収集をした結果、今回の宿を取るのを苦労した原因となった時代祭が雨のため順延になったということが平安神宮のホームページを見てわかりました。となると、当日のバスの運行をはばむような交通規制も実施されないわけで、時間もたっぷりあるので一日500円で京都のほとんどの観光名所を回ることができる市バスの一日乗車券を購入して回ることにしました。友人は修学旅行以来京都観光をしたことがないということで、まずは清水寺へ。いきなり急な坂を登らされ、夜行バスに乗って移動したことで体力を消耗していたせいか、普段よりも足取りが重い気がしつつ進みます。参道のお店もまだ営業していない時間にも関わらず、小学生を中心にすでに修学旅行の団体さんが押しかけ、名水のエリアでは行列になってしまっていました。早々に水くみは諦めることにし、時間の経過とともに雨が上がり市内が一望の元見渡せる撮影ポイントで友人は撮影に余念がありません。途中の参道で友人にもインスタントコーヒーをすすめ、今後の予定について相談します。銀閣寺に行こうかと思いましたが、さしあたってその日の時代祭が順延になった平安神宮へ行こうということになり、途中下車します。
大鳥居のそばには恐らく有料の観覧席としてあつらわれたパイプ椅子の並んだ一角があります。私たちが行った時には時おり青空ものぞくといった按配で、順延にして良かったのかというような話をしましたが、京都地方は夕方になって滝のような大雨になってしまったので、この順延の決定というのは幸いだったように思います。それほど観光客はいないといった感じの中、ゆうゆうと中を見学できたのはその日が10月22日という事を考えると信じられないような気がしましたね(^^;)。
一通りの見学を終わり、友人にそのまま銀閣寺へ行こうかという話をしたところ、まだ25年前に金箔を張り替えた金閣寺を間近に見たことがないということで、バスに長い時間揺られながら金閣寺を目指すことにしました。歩き疲れていた私たちはバスの乗り換えの際にコンビニを見付け、水分を補給してからバスに乗りこみました。この時点ですでに市バスの一日乗車券の元は取れていたと思います。金閣寺はその荘厳さのせいなのか、外国人の方,特に中国から来ているらしい観光客がかなり多く、必死になって金閣寺と自分たちとを合わせて写真を撮ろうとしています。かく言う私たちも、単に金ピカの姿をまぶたに焼き付けるだけでは我慢できず、無意味にデジカメのシャッターを切っていました。どうやっても売店で売っている絵はがき以上の写真は撮れないのはわかっているのですが(^^;)。ですからここであえて金閣寺の写真は紹介しません。
金閣寺というのはちょっと外れた位置にあり、なかなかバスの接続も良くないので、とりあえずそこから京都の繁華街である四条を目指します。そうして繁華街を歩きつつ昼食をとり、喫茶店でコーヒーもいただき、個人的なお土産の定番、ちりめん山椒を買いながら祇園を通過、それなりの観光用の風景を楽しんだ後、八坂神社に参拝しバスで京都駅に戻ったら出発から7時間経っていました(^^;)。当日のホテルは大津駅から徒歩9分のホテルを友人とともに予約済みだったので、もう一つのお土産の定番、徳用サイズの乾燥湯葉を購入し、この旅で初めての鉄道である東海道本線に乗って大津を目指します。
大津駅からホテルまでは結構遠いような感じもありましたが、これはそれまでずっと歩いていどうしていたので、体力が落ちた中で歩き続けたこともあるのかと思います。午後4時にホテルに着き、飲み会は午後7時からなので、多少は体を休めることができます。とりあえず汗だくになった体をシャワーで流し、頭も洗い、髭もちゃんとそってリフレッシュしてから再度ホテルを出ました。
午前中から回った京都の観光地は京都駅より北側のみでしたが、飲み会として設定された場合は伏見稲荷方面の南側でした。飲み会の幹事の会場案内には京阪電車の駅からすぐそばということで紹介されていたものの、市バスの均一路線を記したマップを見ていたら、その最寄り駅近くのバス停まで一日乗車券で行けることを発見しました。まさかここまでバス券が使えるとは思ってみなかったですが、そこで飲み会に間に合うようなバスの時刻を確認し、待っていたところ突然滝のような雨が降ってきました。バス乗り場付近の水路が一部あふれたようで、屋根のあるバス乗り場の近くにも水が入ってくるほどの大雨でしたが、もし私たちがバスから降りた際にこんな雨だったらと思ったらぞっとします。幸いバスが停留所に着いた際には見事に雨が上がっていました。多少狭い店だったのでインターバルを取るために店の前でも飲んでいたりしていましたが、その時も雨には降られず、今回の旅では雨に降られて困ることはありませんでした。その日はしこたま飲んで騒ぎ、実にいい夜を過ごすことができました。
翌日は友人が早々に京都を離れ、途中の知り合いを訪問するということで朝食後にホテルからお見送りし、しばらくはホテルでまったりとしながら持参のノートパソコンを館内のLANに繋いで情報収集を行ないました。すでに予定は終わっているものの、帰りの新幹線は午後8時で、時間は有り余っています。こちらの方も今回集まった友人とは別の友人と会う約束をしているのですが、午後から夜の出発寸前までまた飲みに連れて行ってもらおうと計画していたので(^^;)、そこまでの予定をひねり出さなくてはいけません。そんな中、目に留まったのは近鉄が出している平城宮など奈良への観光のために出された「せんとくん平城京1日電車バス乗車券」でした。奈良は修学旅行や、お世話になった方が奈良周辺にいた関係からだいたいの観光スポットは行っているものの最近出来上がった平城宮の朱雀門と第一次大極殿を見ていないというのがあり、せっかくだから行ってみようと思ってしまったのでした。ホテルを9時過ぎに出て、近鉄京都駅を10時前に出発することができ、大和西大寺駅から朱雀門周辺を目指すことにします。
しかし、ここで今回の旅ではじめて絶望的な気分に襲われることになってしまいました。駅からバス乗り場を見つけ、ちょうど何かのバスが出ていくのを見ながらバスの時刻表を確認したところ、今のバスを逃したことで、あと20分は駅発のバスが来ないということがわかったのです。まあよくよく考えてみると、第一次大極殿までは徒歩でもそれほどの時間はかかりません。意を決して駅から歩きましたが、公園の裏から直接公園に入ることができず、遠回りして入り、そこからまた今までやってきた建物のそばまで往復するように歩かなければいけないことがわかりました。それでも何とかたどり着き、建物の中の展示物を見ながら写真を撮りまくり、朱雀門方面へと向かいます。
ちょうど朱雀門の近くに近鉄が通っており、門と列車が競演する写真を撮るには絶好の場所がいくつもありました。もう少し気合いを入れて撮影に臨めば、上のものよりまだましな写真が撮れたでしょう。時刻はその時点でだいたい12時になっており、さあここからバスに乗り込んで近鉄奈良駅を目指し、周辺で昼食を取ろうと公園を出たところ、またバス停を出たばかりの路線バスに行き当たりました。
さすがにその時点でも、京都と並ぶ観光地として世界的にも有名な奈良での観光ルートを巡るバスが乗り合わせが悪いはずがないとたかをくくっていました。しかし、そこにあったバスの時刻表を見て、思わず意識が遠のくかと思うほどのショックを受けてしまったのです。
つまり、私が見たバスが通過した後は、この場所でバスを待ったとしても一時間後にしか来ないということです(;_;)。しかしこのまま道にへたり込んでもしょうがないので、とりあえず地図で見た近鉄の一番近い駅を目指して歩き続けるという決断をするしかありませんでした。足取りは重く、さらに昨日の疲れも加わってスピードも上がりません。大きな道路を横断していると、どこからか右折してきたバスが目の前の停留所とおぼしき場所に停まったのが見えます。しかし、さすがにそのバスを追いかける元気はなく、ようやくそのバス停に到着した時にはすでにバスは行ってしまった後でした。その停留所はイトーヨーカ堂の前にあり、前のバスに乗らないで待ち続けている人もいたため、恐る恐る時刻表を確認したところ、何と6分後に別系統の路線バスで近鉄奈良駅まで行くものがあることがわかりました。まさに三度目の正直といったところでしょうか。実際バスに乗って近鉄の次の駅までの距離を測ったら、かなり歩かなければならないことがわかり、このバスに乗れて本当に良かったと思いました。とりあえず駅周辺で食事し、一応奈良公園付近まで歩きつつ、これ以上はやめようと早めに京都へ戻ることに。とんでもない経験でしたが、つくづく奈良をなめてはいけないことを再認識した次第です(^^;)。
その後、地元在住の友人と合流し、前日までは全く行けなかったある程度レアなお店などを紹介されながら焼酎を飲む店に連れて行ってもらい、しこたま飲み、話してきました。帰りの新幹線には十分間に合い、帰りの2時間ちょっとの時間を利用してこの旅行記を書いてしまいました。
車中泊抜きの旅だったということもあってか、酒と縁の切れない旅になってしまいましたが、たまにはこんな旅もいいものです。しかし、下調べも何もない場合、良いハプニングならまだしも悪いハプニングが起こったらかなりショックを受けるかも知れませんので、ここを読んでいる皆さんはこういった旅の真似はしないほうが賢明でしょう(^^;)。次回また京都に行くことがあれば、しっかり下調べをしてから行こうと思っています。
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